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早朝の山を歩く、「いま」に出会う

朝5時、テントを打つ雨音で目が覚める。耳を澄ましてみても、それ以外は何も聞こえない。

雨音がひびく静寂の中、寝袋から起き上がる。寝袋の下が少し湿っている気がする。外で朝を迎えたのなんていつ以来だろう。不自由な目覚めに、不思議な心地よさを覚えた。

朝だ。久しぶりに「朝」というものに出会ったような感覚で、周りを見渡す。体はまだ寝ているけれど、だるさも残っているけれど、なぜかワクワクしている。

山の朝が僕を呼んでいる、そんな気がする。

テントから出て気づいたのは、雨が止んでいたことだった。あんなにテントを叩いていた雨が、一瞬でいなくなってしまった。

土砂降りの中、このキャンプ場に着いたのが昨日のお昼。そこからテントをたてて、お昼ご飯を用意した。初めてのキャンプが大雨だなんてツイテナイなんて言いながら、みんなでキャンプした。

昨日が人生初めてのキャンプだった。山の朝もこれが初めてだ。だから、本当に山の朝が僕を呼んでいるのか、寝ぼけた頭の勘違いなのかはわからない。

 

だから、思いきって勘違いすることにしてみた。山の朝に呼ばれることなんて、2度とないだろうから。

そんな不思議な心持ちのまま、ふと見上げれば、雨を吸い込んだ緑がキラキラしていた。

風が吹くたびに、雨をたくわえた葉っぱが揺れる。その揺れた葉っぱからこぼれ落ちる水滴たち。その大きさに驚いて声が出そうになる。

きっと夜の間中、雨をすいこんでいたみたいだ。大きな傘みたいだ。そう思って、ありふれた表現すぎて笑みがこぼれる。

 

今日はもうキャンプが終わったら帰ることになっている。朝からテントを片付けたり、荷物をつめたり、朝ごはんを食べたり。そうやって日常にズンズンと近づいていく予定になっている。

でも、そんな予定はどうでもいい。いまは。山の朝に呼ばれているから、少しだけ散歩してみようと思った。

どこにいくでもなく、朝を散歩しようと思った。

このみちはどこにつながっているんだろう。こっちに曲がるとどこに出るんだろう。草が伸びている。葉っぱが落ちている。あれ、虫が死んでいる。

目的地も、グーグルマップも、乗り換え案内もなく、山の朝を歩いていく。この先の道のことも、さっき歩いた道のことも考えずに、ただただ歩いている。

あ、きれいな蜘蛛の巣。また雨が降ってきた。葉っぱに穴が空いている。

「いま」だけが自分の周りにあふれていて、それだけで満たされるこの時間。ただただ、目にとまる「いま」、心にきざまれる「いま」がいっぱい。

草が揺れる。水が流れている。遠くまで道が伸びている。

歩く。歩く。歩く。全部、「いま」だ。
「いま」で満たされる余白。

 

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